中国の上水道普及率、本当は何%なのか?
中国の上水道普及率をネットで調べると、100%あるいは
100%に近い普及率となっています。
2011年に発表された(財)自治体国際化協会 北京事務所の
「中国の水事情」(Clair Report No. 361(June 14, 2011)
の
6ページ目の冒頭にも
中国の主要都市では農村を除く都市部は、水道普及率は
100%かそれに近くなっ
ており、どこに行っても水道
の蛇口を開けば水が出てくる。
と書かれています。
この写真は、私の勤務する工場の手洗い場です。
蛇口をひねれば水が出てくるのですが、実は浄水場から
きた水ではなく井戸水をポンプでくみ上げて屋上の設置した
タンクからの水です(笑)
(統計上は上水道に含まれているのではないか?、と思います)
現実的にも、私の住んでいる市街地(中国で言うところの城市)から
車で10分ほど走った郊外には水道設備などなく、井戸水で暮らして
います。
ネットに登場する上水道普及率と現実のあまりに大きい差に疑問を
もち、調べてみるとどうも私の考えが正しいようです(笑)
平成21年(2009年)3月に厚生労働省健康課水道局が発行した
報告書(原文は→こちら)はアジアの水利用の現状を調査して
日本の安全な水道をアジア諸国に普及させるための技術支援等
を目的とした調査報告書だそうです。
この報告書の中では、中国・カンボジア・ベトナムの上下水道
に関する各国政府関連部門での聞き取り調査がまとめられています。
その中から中国の水道事情を抜粋しますと
水道の普及状況
世界保健機構(WHO)、国連児童基金(UNICEF)
のデータによると、2004 年時
点での全国の水供給設備の普及率1は
77%であり、都市部は 93%、農村部は 67%とな
っている。汚水処理
については、全国で 44%(都市部:69%、農村部:28%)となっ
ている。
アジア開発銀行によると、水道が普及されていても特に水質
など
適正なサービスが提供されているかは別の問題であり、普及率が
実態を表してい
ない可能性があるとしている。
アジア開発銀行も私と同じ疑問を持っているようです。
私の疑問に答える資料がこの報告書の19ページに記載
されています。
浙江省の農村部の754鎮の給水に関するデーターです。
表 3-6 浙江省農村部の給水概況
給水状況 鎮数
A 鎮内に浄水場を整備し給水 153
B 近隣都市から水道水を受水し給水 226
C 簡易な処理で給水 375
合計 754
注)簡易な処理とは、簡易なろ過と消毒のみ
杭州にある754鎮の49%にあたる375鎮では
浄水場で濾過された水ではなく、簡易な濾過と消毒
のみ(私の勤務先と同じです)となっています。
浄水場から来た水道を使っているのは379鎮です。
水道普及率100%といいながら、現実的には日本の
戦前時代と同程度の現状のように思われます。
私は神戸市に生まれましたが、小学校低学年のころは
下水道でなく汲み取り式の便所でした。
(神戸生まれと言っておりますが、生まれたときには
まだ神戸市に編入されて下りませんでしたので、
兵庫県武庫郡という地名でしたが。。。)
このような現状をしり、経済大国と呼ばれながらも現実の
生活は、まだまだ発展途上国な訳なのであります。
国際的なマナーが身につくまでは、あと60年ほど
かかるのではないか?とおおらかな気持ちで見て
やってくださいね♪
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